前回の記事で、ストレングスファインダーの成り立ちを紹介しました。
https://servant.style/sf_intro_01/
今回は、ストレングスファインダーの3つの特色を紹介します。
さまざまな自己理解ツール
自分を理解したい、という人間の欲求は、本能的なものです。
古くから、さまざまな形で自己理解が追求されてきました。
アポロン神殿の入り口には、古代ギリシャの格言として、こう記されています。
私たちにとって、自分を理解することがよりよい歩みへの大切な一歩です。
しかし、それだけ大切なものでありながら、簡単なことではありません。
「自分のことをすべて知っている」と言う人は、よほど自分を知らない人でしょう。
そのような中で、さまざまな自己理解ツールが生み出されてきました。
一方では、心理学的見地に基づく、客観性のあるものもあります。
もう一方では、ほぼネタに近い〇〇占いのようなものもあります。
それぞれ、特色があり、活用できる場面も違います。
ストレングスファインダー以外の3つのツールを紹介します。
ウェルスダイナミクス
富(お金だけのことではありません)を築く体系的なシステムの一部分としての自己理解ツール
基本は、ダイナモ、スチール、テンポ、ロードの4つのタイプ分け
さらに、発展した形でクリエイター、スター、サポーター、ディールメーカー、トレーダー、アキュムレーター、ロード、メカニックの8タイプ分け
それぞれのタイプによって、特性と活用の方法が示唆される
特に、どのタイプの人とどのように関わるのがよいかを理解できる
自分の基盤を整え、フローに乗って成功するまでの道筋を描く
マイヤーズブリックスタイプ指標
心理学的に導かれた4つの点に関して、自分がどちらに該当するかを判断する
4つの点とは以下のとおり
- I 内向的であるか ー E 外交的であるか
- S 感覚的であるか ー N 直感的であるか
- T 思考的であるか ー F 感情的であるか
- J 判断的であるか ー P 知覚的であるか
その組み合わせによって、全16タイプに分けられる
このタイプ分けは、個人が世界をどう見ているかを明らかにする
各タイプのための行動指針が用意されている
行動の傾向と注意すべき点を理解することができる
他者との相違点が明確になる
エニアグラム
診断テストによって、9タイプに分けられる
それぞれのタイプに番号と特徴的な名前がつけられている
- 改革する人
- 人を助ける人
- 達成する人
- 個性的な人
- 調べる人
- 忠実な人
- 熱中する人
- 挑戦する人
- 平和をもたらす人
特色を覚えやすく、話題にしやすい
仲間でお互いを理解するために最適なツール
以上、それぞれに特色のある3つの自己理解ツールでした。
では、ストレングスファインダーにはどのような特色があるのでしょうか。
ストレングスファインダーの特色
ストレングスファインダーの特色は、3つにまとめられます。
- 34の資質による詳細な自己理解
- 一人一人の強みに対する明確な焦点
- 上位資質を活用するための実際的な取り組み
それぞれについて、説明します。
34の資質による詳細な自己理解
ストレングスファインダーの特色の一つ目は、何と言っても、34の資質です。
詳細な診断テストにより、一人一人の資質の順位付けが明らかになります。
もちろん、膨大な順位付けのバリエーションが存在します。
誰一人、同じ資質の並び順になることはないというレベルです。
ちょっと計算してみましょう。
上位2つの並び方 34×33=1,122 通り
上位3つの並び方 34×33×32=35,904 通り
上位4つの並び方 34×33×32×31=1,113,024 通り
上位5つの並び方 34×33×32×31×30=33,390,720 通り
とりあえず、ここまで上位5つの資質の並び順だけで、3339万通りです。
全34資質の並び順のバリエーションは、
34×33×32×…3×2×1 = 295,232,799,039,604,140,847,618,609,643,520,000,000
一応、書いては見ましたが、よくわからない数字になりました。
ストレングスファインダーは、一人の人を多面的に理解しようとします。
4タイプ、9タイプ、16タイプなど、大まかな分類をしません。
各資質をレンズにして人を見ることで、より詳細な理解が促されます。
この地上でただ一人のユニークな存在として、個性を深く理解することが可能になります。
反面、資質が34もあると、一つ一つの資質を理解するだけでも大変です。
ましてや、その資質を手がかりに自分自身を深く分析する労力は、とても大きなものです。
一人一人の強みに対する明確な焦点
ストレングスファインダーには、はっきりとした理念があります。
資質の並び順は、上位からおおまかに3つのグループに分類することができます。
- 上位資質(意識せずとも自然に行動につながり、苦もなく成果に結びつく資質)
- 中位資質(多少の努力や心がけによって行動につながり、成果に結びつきやすい資質)
- 下位資質(努力して行動につなげようとするものの、成果に結びつきにくい資質)
ストレングスファインダーでは、資質を底上げする、という考え方をしません。
つまり、下位資質を改善して中位資質にすることは、重要なことではありません。
中位資質を磨いて上位資質にすることも、さほど重要なことではありません。
むしろ、上位資質に焦点を当て、強みとして活用されることを目指します。
それこそが、一人一人がそれぞれにあった成功を手に入れる鍵だと言うのです。
(詳しくは、前回の速読の実験結果のストーリー参照)
簡易的な診断結果では、上位5つの資質の並び順が明らかになります。
まずは上位5資質だけでも、取り組み始めることができる、と考えられています。
では、下位の資質に関しては、どうするのでしょうか。
放置して良いのでしょうか。
下位資質の扱い方は、2つの方法があります。
ここでは、簡単にまとめます。詳しくは、またの機会に。
一つ目は、完全にあきらめて、他の人に助けてもらう、という方法です。
ある人には下位の資質でも、ある人には上位の資質です。
協力し合うことによって、不得手なことに労力を費やす必要はなくなります。
二つ目は、自分の上位資質を活用して、下位資質をカバーする方法です。
下位資質も自分の特性の一部だと考え、それを弱みにしない上位資質の活用術を身に付けます。
いずれにしても、下位の資質をさほど気にしなくて良い状態にします。
これができないと半人前、という強迫観念から解放されます。
「無理してやらなくていいのか。ホッとした。」
これも、強みに焦点をあてるストレングスファインダーの大きな副産物です。
上位資質を活用するための実際的な取り組み
ストレングスファインダーは、一人一人の資質の並び順を明らかにします。
と同時に、上位の資質が強みとして活用されるようにヒントを与えてくれます。
上位資質を強みとするためは、具体的な取り組みが必要です。
ストレングスファインダーでは、資質の並び順とともに、詳細なガイドが提供されます。
ガイドには、各資質の詳細な説明が含まれています。
「さぁ才能に目覚めよう」内にある説明とほぼ同じです。
よく読み、自分にあてはめて理解します。
- 該当する資質についてどの程度自覚しているか
- その資質のゆえに行われている行動は何か
- さらにその資質を活かそうとしたら、どうしたらよいか
などを、自問していきます。
また、資質を活かせるように、行動や環境を見直します。
- 該当する資質をどの場面でどのように使うのが有効だろうか
- その資質をもっともよく活用するために必要なものは何だろうか
- 現状でその資質を活用するのに妨げになっているのは何だろうか
自分についての理解に基づいて、行動を整えていきます。
さらに、周囲の協力がとても有効です。
- どのような役割が一番実力を発揮できるのか
- そのために必要としている資源は何か
- 反対にどのようなことに大きな努力を要するのか
これらを周囲に伝え、理解してもらう努力をします。
これにより、自分だけでなく、一緒に働く人たちにも利益がもたらされます。
このような取り組みの際に、大きな助けになることがあります。
同じ資質がどのように活用されているか、具体例を知ることです。
本やブログ記事などで、同じ資質についての情報を集めてみましょう。
理解を深め、活用するためのヒントになるはずです。
また、各資質を深く理解する訓練を受けたストレングスコーチも力強い存在です。
資質の本質的な要素を明らかにし、対話によって適用を促してくれます。
自分だけで取り組むよりも、さらに深い取り組みを実現することが可能になります。
以上、ストレングスファインダーの3つの特色についてまとめました。
「あたってる」だけではない、奥の深いツールであることが理解できたことでしょう。
次回は、ストレングスファインダーがもたらす良い点と、活用にあたっての注意点をお伝えします。