サーバントの考え方4 十分に受ける者こそ与えることができる

人のために、とは思うものの、自分だって…

そう思うのは、とても自然なことです。

他人のためと自分のため、どうやってバランスを取ればいいのでしょうか。

この考え方を理解して、自分なりのバランスを見つけてください。

与え続けるための条件

仕えるとは与えることです。しかし、与えることは容易ではありません。

サーバントが喜んで与え続けるためには、3つの条件を満たすことが必要です。

与えるための条件① 与えるものをもっていること

まず、与えるものを持っていることです。無いものを与えることはできません。

お腹を空かせている人にパンを与えるためには、手元にパンがなくてはなりません。もっと言えば、パンをたくさん持っていることが必要です。

自分の分しかないのに与えれば、自分の分を減らすことになります。一時的には可能ですが、長い目で見ると難しい状況を招きます。与えるためには十分な量を持っていることが必要です。

与えるための条件② 与える気持ちがあること

次に、与える気持ちがあることです。

人は自分の持ち物を自分の所有物だと認識しています。手放すことに抵抗があります。与えようか、どうしようかと葛藤が生じます。

抵抗や葛藤を乗り越えて与えるには、積極的な理由が求められ、動機づけが必要となります。あえて与えることを選ぶ意思が必要です。

与えるための条件③ 与える仕組み

さらに、長く続けるためのしくみが必要になります。

気まぐれで一時的な支援では不十分です。

与える物と心の両方が豊かであり続けるためには、ものを生み出し、無理なく協力関係が広がるしくみが必要です。

不完全なサーバント

そのようなものが求められる一方で、サーバントは自分自身が不完全な存在だと理解しています。

助けを受けながらでしか、人を助けることができない者です。

どうやっても完全に助けること、仕えきることはできません。与え続けるために必要となる3つの条件をすべて自分の力で満たすことは無理です。

サーバントと言っても、自分が貢献できることで、関わり続けているだけなのです。

メサイヤ・コンプレックス

援助者は自分が万能だと思い込みやすく、相手を助けなければいけないと気負いがちです。他人の人生を必要以上に背負い込み、苦悩します。

メサイヤ・コンプレックスといわれるものです。

万人を救う救世主になれれば、誇り高く喜ばしいことです。ただ実際は救世主ではありえません。

すると、不完全な自分を責め、焦燥感に駆り立てられます。

必要以上に自己を正当化したり、承認を求めたりするようになります。

不完全な援助者のまま

サーバントは不完全な援助者です。自分も多くの助けを必要とします

「助けが必要だ」と表明すれば、弱みを見せることになります。不利なことも出てくるでしょう。

それで良いのです。それを承知の上で、周囲からの助けの必要を認め、信頼して助けを求めます

与えるためには受けることが必要

サーバントは不十分さを自覚し、与え続けるために必要なものを補充します。

自分がよい状態を保てるように心がけています。

責任を持って自己管理を

自己管理は自分の責任です。

  • 気力は維持されているだろうか
  • 体力は失われていないだろうか
  • 人間関係にゆがみが生じていないだろうか
  • スケジュール、体調、精神状態、お金など

管理すべきことは、たくさんあります。

ガソリンのメーターが空に近づけば、急いでガソリンスタンドに立ち寄って給油するように、自分に不足するものがあると気づいたら、すみやかに補って充たすことが必要です。

不完全ではありながらも、それなりに最善の状態で関わることができるように、サーバント自身が整えられる必要があるのです。

不完全さを補う助け

与えるものを十分に持っていないときには、他の人の協力を求めて、与えるものを用意する必要があります。

与え続ける気持ちが薄れるときには、励まし合う仲間、志を同じくする人と歩みをともにすると良いでしょう。

持続可能なしくみが不完全であるならば、経験者や知恵ある人たちの助けを借りて整えることになります。

与えるために喜んで受ける

強がらず、素直に助けを求めることは、サーバントにとって最も大切なことのひとつです。

そもそも、人はひとりで生きる存在ではありません。

神がそれぞれのためによいものを与え、人はお互いにそれを用いて助け合う関係の中に生きています。

与えるために喜んで受けることが、すべての出発点です。

まとめ

仕えることは与えることであり、何の用意もなしにできることではありません。サーバントは、自分自身が助けの必要な存在であることを理解しながら、十分な助けを受けながら、人に与え、助けます。

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