「他者と働く」宇田川元一著を読みました。
「一筋縄で行かない経営現場への処方箋だ」
そんな話題になった本です。
読後に考えたことをメモします。
効率を理由に橋をかけることを諦めない。
組織には、色々な課題があります。
どれも一様に解決されるわけではありません。
解決の効果が早く出るのは技術的問題でしょう。
方法を見つける、その通り実行する、解決する。
方法が見つかれば、効果は約束されます。
一方、放って置かれるのが適応課題でしょう。
理屈通りにうまく行かないからです。
対話のプロセスには手間も根気も求められます。
しばらく放置しても当面問題になりません。
でも、長期的に見て、根深い問題になるのは適応課題です。
組織の基盤となる一体感が損なわれてしまうからです。
「手間がかかるから、今はとりあえず…」
私がよく言いそうな言葉です。
でも、先延ばしにするのはやめます。
ナンクロで頭の体操を楽しむように、
適応課題への対処を楽しみます。
大きなナラティブの創出が必要だ。
適応課題の本質はナラティブの相違にあります。
ナラティブの書き換えは至難の業、と言うのが厄介です。
今回はどちらの側のナラティブを採用するか。
それを決めることは、本質的な解決ではありません。
一方の側に、ナラティブの放棄を強要するからです。
むしろ、目指すべきことは、大きなナラティブの創出です。
どちらのナラティブも包括する大きさです。
例えば、部門毎の目標を包括するような組織の理念です。
我のナラティブから、我々のナラティブへ、です。
「事件は現場で起きている」からこそ、
「我々は世界を舞台にして生きている」ことを忘れずに。
大きなナラティブを語れること。
これこそ、まさにリーダーに求められることです。
管理職の大切な仕事
現場のナラティブのぶつかり合いを調整するのが管理職です。
まずは、問題の所在に気が付きます。
技術的な問題でないことを見抜きます。
適応課題として観察し、ナラティブの相違を見出します。
大きなナラティブの中で双方の一致点を探ります。
橋をかけて協働体制を整えます。
そして、もう一つ管理職に大切な役割があります。
適応課題を解決できる人材を育てることです。
現場のリーダーについて、です。
適応課題の解決を目指す対話を共にします。
時折振り返りながら、自分たちが何をしているか、を理解します。
この対話で、ナラティブの違いに気づいたね。
今、双方に橋を架ける場所を見つけているんだ。
などなど。
何度かこの経験を繰り返すことで、プロセスを体感します。
センスを身につける助けになるでしょう。
管理職がここまでやると、組織が次のレベルに行けます。
これこそ、管理職が積極的に取り組む課題です。
厄介な問題、で片付けてしまうのは、もったいないことです。
宇田川氏の最新作は、「組織が変わる」です。
2on2の提案があったりするようです。
近々、読んでみたいと思います。
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