投稿者: 中澤 信幸

  • 終末期患者の心を支えるスピリチュアルケアのすべて

    生命の終わりに向き合うとき、私たちは身体的な痛みだけでなく、深い心の揺らぎも経験します。「なぜ私なのか」「人生に意味はあったのか」「残される家族は大丈夫だろうか」—終末期の患者さんが抱えるこうした問いかけは、通常の医療ケアだけでは応えきれないものです。

    終末期の患者にとって、身体的なケアだけでなく、心のケアも非常に重要です。特に、スピリチュアルケアは、患者が心の平安を見つけ、残された時間を穏やかに過ごすための大切なサポートとなります。しかし、多くの家族や医療従事者は「スピリチュアルケアとは具体的に何をすればよいのか」と戸惑いを感じています。

    スピリチュアルケアは特別な宗教的行為ではありません。それは患者さんの人生観や価値観に寄り添い、存在そのものを尊重する深い関わりです。時に静かな傾聴であり、時に共に涙し、時に思い出を分かち合うことでもあります。

    本記事では、終末期におけるスピリチュアルケアの実践方法や、家族・医療従事者が行えるケア、具体的なツールや手法を詳しく解説します。この知識が、大切な人の最期の時間をより意味深く、穏やかなものにするための一助となれば幸いです。

    1. 終末期患者にスピリチュアルケアが必要な理由

    終末期を迎えた患者さんは、身体的な痛みだけでなく、深い心の苦痛も抱えています。医療の進歩により身体的な症状は緩和できるようになりましたが、「なぜ私がこの病気になったのか」「自分の人生に意味はあったのか」といった根源的な問いに対する答えは、通常の医療ケアだけでは提供できません。ここに、スピリチュアルケアの必要性があります。

    1-1 スピリチュアルペインとは何か?

    「スピリチュアルペイン」とは、身体的な痛みとは異なり、心や魂のレベルで感じる痛みのことです。これは「自己の存在と意味の消滅から生じる苦痛」と定義され、死に直面した人が自責の念や罪悪感を抱き、自己の存在意義を見失い、苦悩に陥る状態です。

    スピリチュアルペインは、人間存在の三つの側面から捉えることができます:

    • 時間性の喪失:将来を失うことで「もう何をしても無意味」という感覚
    • 関係性の喪失:他者との関係が断たれることによる孤独感や生の無意味さ
    • 自律性の喪失:身体機能の低下による自己コントロールの喪失感

    このような苦痛は、身体的な痛みとは異なる次元で患者を苦しめ、時に身体症状を悪化させることもあります。目には見えないため、周囲から気づかれにくいものですが、適切なスピリチュアルケアを提供することで、患者さんが抱える心の痛みを少しずつ和らげることができます。

    1-2 身体的ケアだけでは満たされない心のニーズ

    終末期患者のケアにおいて、身体的な痛みの緩和は重要ですが、それだけでは不十分です。患者は「生きる意味」「人生の価値」「死後の世界への不安」など、深い精神的・霊的な問いを抱えています。これらの問いに向き合い、患者自身が納得のいく答えを見つけるプロセスを支援することが、スピリチュアルケアの本質です。

    ホスピスケアは全人的なケアを目指しており、患者の身体的、精神的、感情的、そしてスピリチュアルなニーズに対応するよう設計されています。特に終末期には「心が安らかであること」が何よりも重要になります。

    メンタルケアが一時的な不安を和らげるのに対し、スピリチュアルケアは人生についての根本的な疑問に理路整然と向き合い、納得を得ることを目指します。これにより、患者は残された時間をより意味のあるものとして過ごすことができるようになります。

    1-3 終末期患者が感じやすい不安や恐れの具体例

    終末期患者が抱える不安や恐れには、以下のようなものがあります:

    • 死の過程への恐怖:痛みや苦しみを伴う死への恐れ
    • 未知への不安:死後の世界や死の瞬間に何が起こるかわからない不安
    • 自律性の喪失への恐れ:自分でコントロールできなくなることへの恐怖
    • 愛する人との別れの悲しみ:家族や友人と別れることへの悲嘆
    • 孤独死への恐れ:最期の瞬間に一人きりになることへの不安
    • 未解決の問題への後悔:人間関係の修復や未完の目標に対する悔恨
    • 存在の意味への疑問:「なぜ私が」「何のために生きてきたのか」という問い

    これらの不安や恐れは、終末期患者の約70%が経験するとされており、適切なスピリチュアルケアなしには、患者のQOL(生活の質)を著しく低下させる可能性があります。

    スピリチュアルケアでは、患者が以下のような言葉を伝えることが重要とされています:

    • 「許してください」
    • 「あなたを許します」
    • 「ありがとう」
    • 「愛しています」
    • 「さようなら」

    これらの言葉は、患者と家族の両方に強力な効果をもたらすことができます。研究者たちは、スピリチュアルケアの重要な目標として、希望、意味、許し、愛、和解、感謝、畏敬、謙虚さ、そして受容を挙げています。

    スピリチュアルケアは、これらの深い苦しみに寄り添い、患者が自分らしく最期の時を過ごせるよう支援する重要な役割を担っているのです。

    2. スピリチュアルケアの具体的なアプローチ

    終末期患者へのスピリチュアルケアには、様々な具体的なアプローチがあります。患者さんの心に寄り添い、心の平安をサポートするための方法を見ていきましょう。

    2-1 患者との対話を通じて心を開く方法

    スピリチュアルケアの基本は、患者さんとの対話にあります。しかし、これは単なる会話ではなく、深い傾聴と共感を伴うものです。

    • アクティブリスニング(積極的傾聴): 患者さんの言葉に耳を傾け、その背後にある感情や思いを理解しようとする姿勢が重要です。言葉にならない思いも含めて、全人的に受け止めることが大切です。
    • オープンエンドの質問: 「何があなたに希望を与えていますか?」「あなたにとって大切なものは何ですか?」といった開かれた質問を通して、患者さんが自分の思いを探求できるよう促します。
    • HOPE(希望)アセスメントツールの活用:
      • H(Hope/希望): 「あなたの希望、強さ、慰め、平和の源は何ですか?」
      • O(Organised religion/組織化された宗教): 「宗教や信仰はありますか?それはあなたにとってどれくらい重要ですか?」
      • P(Personal spirituality/個人的なスピリチュアリティ): 「組織化された宗教とは別に、個人的なスピリチュアルな信念はありますか?」
      • E(Effects on medical care/医療ケアへの影響): 「病気によって、あなたの人生に意味と目的を与えるものができなくなりましたか?」
    • 信頼関係の構築: 患者さんが心を開くためには、まず信頼関係が不可欠です。日常的なケアを丁寧に行い、患者さんが「自分は関心を持たれている、尊重されている」と感じられる関係性を築くことから始めましょう。

    2-2 瞑想や祈りを活用した心の癒し

    瞑想や祈りは、終末期患者のスピリチュアルケアにおいて非常に効果的なツールとなります。

    • マインドフルネス瞑想: 終末期ケアにおけるマインドフルネス瞑想は、ストレスや不安を軽減し、リラクゼーションを促進し、痛みを軽減するのに役立ちます。また、認知機能の向上や感情処理の助けにもなります。
    • ガイド付き瞑想: 適切な呼吸法、視覚化、アファメーションなどを通じて、患者さんをリラックス状態へと導きます。個々の患者さんのニーズに合わせたカスタマイズされた瞑想プラクティスを作成することも効果的です。
    • スピリチュアルな瞑想: 研究によれば、スピリチュアルな瞑想は非スピリチュアルな瞑想や単なるリラクゼーションよりも優れた効果を示しています。これは「より大きな全体とのつながり」の感覚を高め、特に人生の終わりに向かう時に重要な要素となります。
    • 祈り: 患者さんの宗教的背景に合わせた祈りを提供したり、一緒に祈ったりすることで、心の平安をもたらすことができます。祈りは患者さんだけでなく、家族にも強力な効果をもたらすことができます。

    2-3 医療従事者やカウンセラーが提供できるケア

    医療従事者やカウンセラーは、以下のようなスピリチュアルケアを提供することができます:

    • 治療的な関係性の構築: 患者さんを知り、信頼関係を築くことで、スピリチュアルな懸念について話し合いやすい環境を作ります。自分自身のスピリチュアルな信念を理解することも、患者さんとの対話に役立ちます。
    • スピリチュアルな介入: 患者さんと一緒に祈る、支持的な存在を提供する、治療的タッチを行う、患者さんの宗教の実践を促進する、課題への代替案を探る、許しを促進する、自己期待を探求し現実的かどうか判断するのを助ける、などが含まれます。
    • 専門的なトレーニング: 医療従事者向けの臨床牧会教育(CPE-HP)などのトレーニングプログラムは、スピリチュアルケアを提供する能力と自信を大幅に向上させることが示されています。
    • チャプレンとの協力: ホスピスケアチームには通常、チャプレン(宗教的指導者)が含まれており、患者さんのスピリチュアルなニーズに対応するための専門的なサポートを提供します。医療従事者は、必要に応じてチャプレンや患者さん自身の宗教的指導者(司祭、ラビ、イマームなど)と連携することができます。
    • ケアプランへの統合: 患者さんのスピリチュアルなニーズを包括的なケアプランに組み込むことで、全人的なケアを提供します。これには、宗教的信念を尊重した食事の好みなども含まれます。

    スピリチュアルケアは、終末期患者さんの不安、痛み、疲労を軽減し、生活の質を向上させる重要な役割を果たします。患者さんが自分らしく最期の時を過ごせるよう、これらのアプローチを状況に応じて柔軟に組み合わせることが大切です。

    3. 家族が提供できるスピリチュアルサポート

    終末期の患者さんにとって、家族の存在は何物にも代えがたい心の支えとなります。医療従事者が提供する専門的なケアとは別に、家族だけが提供できる特別なスピリチュアルサポートがあります。このセクションでは、家族ができる具体的なサポート方法や、見送りの際の心構え、そして家族自身のセルフケアについて解説します。

    3-1 家族ができる具体的なサポート方法

    傾聴と共感の姿勢

    終末期の患者さんにとって最も重要なのは、自分の気持ちを理解してもらうことです。小川朝生先生(国立がん研究センター東病院精神腫瘍科長)は「基本的には、患者さんのそばにいて、話に耳を傾けるだけで十分です。患者さんが言うことを否定せずに耳を傾けて、共感する姿勢を示すと、患者さんも安心されます」と述べています。

    特に、患者さんが不安を感じているときには、アドバイスなどはせずに、ただ寄り添うことで安心感を与えることが大切です。

    思い出作りのサポート

    残された時間を有意義に過ごすために、患者さんの「やりたいこと」を一緒に実現させることも重要なスピリチュアルケアとなります。行きたい場所への旅行計画を立てたり、会いたい人に会う機会を作ったりすることで、患者さんの心に充実感をもたらすことができます。

    旅行を計画する際は、医師と相談し外出許可書をもらうなど、患者さんの体調に配慮した準備が必要です。

    終活の手伝い

    終活は患者さんにとって大切な心の整理の時間ですが、体力的・精神的に負担が大きいものです。エンディングノートの作成、遺言書の準備、身の回りの整理、お世話になった方へのお礼回りなど、家族が手伝うことで患者さんの負担を軽減できます。

    終活を一緒に進めることは、患者さんの人生を振り返り、その価値を再確認する貴重な機会にもなります。

    日常の中での寄り添い

    「ぬくもりを感じること」「思い出を語ること」「ありがとうで見送ること」—この3つが家族にできる大切なサポートです。日常の何気ない時間の中で、患者さんの手を握ったり、一緒に思い出話をしたりすることが、深い心の癒しとなります。

    3-2 見送りの際の儀式や心構え

    最期の時間の過ごし方

    患者さんの最期が近づいてきたら、家族が集まり、静かに見守ることが大切です。この時間は、言葉を交わすよりも、ただそばにいることに意味があります。

    臨終の際には、「最期までがんばりましたね。ありがとうございました」と本人に語りかけることで、家族も自然と「ありがとう」と言えて、穏やかな最期と捉えることができるようになります。

    お別れの時間を大切に

    臨終後のお別れの時間も、家族にとって重要な癒しの時間となります。ある遺族は「遺体になった母は、少なくとも今はもう、痛さを感じることはないので、苦しんではいないので……、落ち着いて話せることもありました。闘病中はやはり、母の体調が気になって、ゆっくり話すということはなかなかありませんでしたから」と語っています。

    この時間を使って、言い残したことを伝えたり、思い出を語ったりすることで、心の整理をつけることができます。

    儀式の意味を理解する

    葬儀や通夜などの儀式は、単なる形式ではなく、家族の心の区切りをつける大切な機会です。患者さんの希望に沿った形で行うことで、家族も「最善を尽くした」という満足感を得ることができます。

    家族葬を選ぶ場合も、親しい人たちと故人を偲ぶ時間を持つことで、悲しみを分かち合い、心の支えとなります。

    3-3 家族自身の心を保つためのセルフケア

    看病の負担を一人で抱え込まない

    終末期ケアは家族にとっても大きな精神的・肉体的負担となります。「家族はご自身の健康を考えながら、看病するように心がけましょう。終末期ケアを行う際は、家族も肉体的・精神的につらいため、無理をすると病気を患うことがあります」。

    あまりにもつらい場合は、家族だけで対応せずに、ケアマネージャー、ソーシャルワーカーや医療スタッフに相談することが大切です。

    自分の時間を持つ

    24時間体制での看病は家族を疲弊させます。交代で休息を取ったり、自分自身のリフレッシュの時間を持つことも重要です。自分を責めることなく、適度な休息を取ることが、結果的には患者さんへのより良いケアにつながります。

    グリーフケアを知っておく

    大切な人を失った後の悲嘆(グリーフ)は自然な感情です。あらかじめグリーフケアについて知識を持っておくことで、喪失後の自分の感情の変化に対する心の準備ができます。

    必要に応じて、遺族会やカウンセリングなどの専門的なサポートを利用することも検討しましょう。

    終末期の患者さんへのスピリチュアルケアは、専門的な知識や技術よりも、むしろ家族としての深い愛情と寄り添いの姿勢が最も重要です。患者さんの心の平安のために、そして家族自身の後悔のない見送りのために、このセクションで紹介したサポート方法を参考にしていただければ幸いです。

    家族だからこそできる特別なケアがあることを忘れないでください。それは、単に「そばにいること」「手を握ること」「思い出を語ること」という、シンプルでありながらも最も深い心のケアなのです。

    4. スピリチュアルケアで使用するツールやグッズ

    終末期患者さんのスピリチュアルケアにおいて、適切なツールやグッズを活用することで、より効果的なサポートが可能になります。これらのツールは患者さんの心の平安を促し、スピリチュアルな側面からの癒しをもたらす助けとなります。

    4-1 ヒーリング音楽やアロマオイルの活用

    ヒーリング音楽の効果

    ヒーリング音楽は、終末期患者さんの心を落ち着かせ、深いリラクゼーションをもたらす効果があります。特に、特定の周波数で構成された音楽は、心身の調和を促進するとされています。

    • 741Hz周波数の音楽: この周波数は、体内の細胞や器官と特によく共鳴し、毒素や感染を取り除くのに役立つとされています。また、ネガティブなエネルギーから自分自身を解放し、感情的な制限やブロックを取り除くのを助けます。
    • 瞑想用音楽: 穏やかな自然音や静かな楽器音は、患者さんの不安を和らげ、より深い内省を促します。これらの音楽は、背景に流しておくだけでも、部屋の雰囲気を穏やかにする効果があります。

    アロマセラピーの活用

    アロマセラピーは、香りを通じて身体的・精神的な健康を促進する補完療法として、緩和ケアの現場でも活用されています。香りは脳の感情や記憶の中枢に直接働きかけるため、スピリチュアルな実践を深める上で重要な役割を果たします。

    効果的なエッセンシャルオイルには以下のようなものがあります:

    • ラベンダー: リラックス効果があり、ストレス軽減に役立ちます
    • フランキンセンス: 伝統的に精神的な目覚めや瞑想の実践に関連付けられています
    • サンダルウッド: 瞑想を深め、穏やかさと明晰さの雰囲気を育みます
    • シダーウッド: 安定感と安心感を高めるのに役立ちます
    • イランイラン: 気分を高め、感情のバランスを整えるのに使用されます

    これらのオイルは、ディフューザーで拡散したり、希釈してマッサージに使用したりすることで、患者さんのスピリチュアルな健康をサポートできます。

    4-2 おすすめのスピリチュアルブックや瞑想グッズ

    スピリチュアルブック

    患者さんの信仰や価値観に合わせたスピリチュアルな読み物は、内省や心の平安を促します。宗教的なテキストだけでなく、人生の意味や死生観について考察した哲学書や、心の平安を見つけるためのガイドブックなども有効です。

    瞑想グッズ

    • 瞑想クッションやマット: 快適な姿勢で瞑想できるよう支援します
    • マインドフルネスカード: 日々の瞑想や内省のためのプロンプトを提供します
    • マントラビーズ: 祈りや瞑想の際に使用し、集中力を高めます

    4-3 ツールを使った具体的なケア方法

    HOPEアセスメントツールの活用

    HOPEツールは、患者さんのスピリチュアルなニーズを評価し、適切なケアを提供するための効果的な方法です。このツールは以下の要素で構成されています:

    • H(Hope/希望): 「あなたの希望、強さ、慰め、平和の源は何ですか?」
    • O(Organised religion/組織化された宗教): 「宗教や信仰はありますか?それはあなたにとってどれくらい重要ですか?」
    • P(Personal spirituality/個人的なスピリチュアリティ): 「組織化された宗教とは別に、個人的なスピリチュアルな信念はありますか?」
    • E(Effects on medical care/医療ケアへの影響): 「病気によって、あなたの人生に意味と目的を与えるものができなくなりましたか?」

    このアセスメントツールを使用することで、患者さんのスピリチュアルなニーズをより深く理解し、個別化されたケアを提供することができます。

    実践例

    58歳のALS患者マイケルさんの例では、HOPEアセスメントによって以下のことが明らかになりました:

    • 希望: 自然と瞑想
    • 組織化された宗教: なし(宗教的ではないがスピリチュアル)
    • 個人的なスピリチュアリティ: 瞑想、マインドフルネス、自然とのつながり
    • ケアへの影響: 快適なケアを重視し、終末期には平和な屋外環境を希望

    これに基づいて、以下の介入が行われました:

    • 毎日の瞑想とマインドフルネスの実践を奨励
    • 公園への訪問や室内に自然を取り入れるなど、自然へのアクセスを促進
    • 快適なケアと症状管理を優先
    • マイケルさんの終末期ケアのために平和な屋外環境を整備

    このように、適切なツールを使用することで、患者さんの個別のスピリチュアルなニーズに対応した、より効果的なケアを提供することができます。

    スピリチュアルケアにおけるこれらのツールやグッズは、単なる物理的な道具以上の意味を持ちます。それらは、患者さんの内面的な旅路をサポートし、残された時間をより意味深く、穏やかに過ごすための架け橋となるのです。

    5. スピリチュアルケアを実践する際の注意点

    スピリチュアルケアは終末期患者の心の平安を支える重要なケアですが、実践する際にはいくつかの重要な注意点があります。患者の信仰や価値観を尊重し、適切な方法でケアを提供することが求められます。

    5-1 宗教や信仰を尊重した対応方法

    スピリチュアルケアと宗教的ケアは混同されがちですが、明確な違いがあります。宗教的ケアは既存の宗教の教えや制度をケアの資源として用いるのに対し、スピリチュアルケアは特定の宗教に属さず、患者中心にケアが行われます。

    患者の宗教的背景を尊重するためのポイント:

    • 患者の宗教的信念や実践を理解し、尊重する姿勢を持つ
    • 宗教的な儀式や習慣を可能な限り支援する
    • 宗教的な設備(チャペルなど)へのアクセスを提供する
    • 必要に応じて宗教家や臨床宗教師との連携を図る

    研究によれば、宗教的背景のある施設では患者の望ましい死の達成度が高いことが示されています。これは宗教的設備へのアクセスのしやすさや宗教家の介入のしやすさが要因として考えられます。しかし、宗教的背景のない施設でも、スピリチュアルケアを意識的に取り入れることで、患者の望ましい死の達成度を向上させることが可能です。

    5-2 無理のないケアを提供するためのガイドライン

    スピリチュアルケアを効果的に提供するためには、以下のガイドラインが役立ちます:

    1. 信頼関係の構築から始める
    患者さんに単に「スピリチュアルペインはありませんか」と尋ねても、何も答えないでしょう。まずは日常生活援助を丁寧に行い、患者さんが「自分は関心をもたれている、尊重されている」と感じられる関係性を築くことが大切です。

    2. 患者のスピリチュアルな側面に関心を向ける
    日常のケアの場面で患者さんが語る言葉や行動を通して、患者さんの拠り所となっていることへの理解を深めます。患者さんのスピリチュアリティの状態を注意深くアセスメントしていくことが重要です。

    3. スピリチュアルケアの目標を理解する
    スピリチュアルペインは、他者が答えを与えることでも解決するものではなく、その痛みや苦しみの意味をその人自身が見出すことで初めてその人にとって真実なものになります。患者さんが穏やかな状態、納得のできる状態をケア提供者が一緒に見つけていくことがスピリチュアルケアの目標です。

    4. 自分自身のケアも忘れない
    スピリチュアルケアを提供する側も、自身の心のケアを怠らないことが重要です。終末期ケアは提供者にとっても精神的負担が大きいため、適切なセルフケアが必要です。

    5-3 専門家との連携が必要なケース

    以下のようなケースでは、専門家との連携が必要です:

    1. 宗教的ニーズが強い場合
    患者が特定の宗教的ケアを求めている場合は、チャプレンや臨床宗教師など宗教家との連携が重要です。臨床宗教師は、被災地や医療機関、福祉施設などの公共空間で心のケアを提供する宗教者であり、欧米のチャプレンに対応する日本語として生まれました。

    2. 複雑なスピリチュアルペインを抱える場合
    患者のスピリチュアルペインが複雑で、通常のケアでは対応が難しい場合は、専門的なトレーニングを受けた緩和ケア医や精神科医との連携が必要です。意味志向性精神療法など精神療法的な関わりや宗教家による関わりが、患者の終末期のQOLの改善に有効であることが臨床研究で示されています。

    3. 多職種連携が必要な場合
    スピリチュアルケアは多職種連携で行うことが効果的です。患者の悩みを含め話す内容は、自分と相手との関係性によって選ばれることが多いため、様々な専門職が関わることで、患者が安心して話せる機会を増やすことができます。

    スピリチュアルケアは個別性が高いものであり、心理面の対応が必要な場合もあれば、宗教的対応が必要となる場合もあります。患者さん一人ひとりにとっての穏やかな状態、苦悩との折り合い、生きる意味の自分なりの納得が目当てになるといえるでしょう。適切な専門家との連携を図りながら、患者中心のケアを提供することが重要です。

    結論

    終末期におけるスピリチュアルケアは、患者さんの身体的な痛みを和らげるだけでなく、心の深い部分に寄り添い、人生の意味や価値を見出すサポートとなります。本記事で見てきたように、スピリチュアルケアは多面的なアプローチを必要とします。

    まず、スピリチュアルペインという目に見えない苦痛を理解し、身体的ケアだけでは満たされない心のニーズに応えることの重要性を認識しました。患者さんとの対話を通じて心を開き、瞑想や祈りを活用した心の癒しを提供することで、終末期の不安や恐れに寄り添うことができます。

    家族の皆さんは、傾聴と共感の姿勢を持ち、思い出作りや終活のサポートを通じて、かけがえのないスピリチュアルケアを提供できることを学びました。また、見送りの際の儀式や心構えを持ち、自分自身のセルフケアも忘れないことが大切です。

    さらに、ヒーリング音楽やアロマオイル、瞑想グッズなどのツールを活用することで、より効果的なケアが可能になります。そして、宗教や信仰を尊重した対応、無理のないケアの提供、必要に応じた専門家との連携など、実践する際の注意点も押さえておくことが重要です。

    終末期におけるスピリチュアルケアは、患者さんだけでなく家族や医療従事者にとっても重要なサポートです。心のケアを通じて、穏やかな時間を過ごせるようサポートすることで、より良い終末期の過ごし方が実現します。

    スピリチュアルケアは特別な技術というよりも、人間としての深い共感と寄り添いの姿勢から生まれるものです。この記事で紹介した様々なアプローチやツールを参考に、あなたの大切な人、あるいはケアを担当する患者さんに、心からのスピリチュアルケアを提供してみてください。それは残された時間を豊かで意味のあるものにするだけでなく、見送る側の心にも深い平安をもたらすことでしょう。

  • 欧米のトップ経営者層が高額を払ってコーチをつける理由

    日本では、コーチングの知名度はまだまだです。

    経営者層で、コーチを付けている人も多くないでしょう。

    しかし、欧米のトップ経営者層は、まず例外なくコーチをつけています。

     

    それはなぜなのでしょう?

     

    この記事では、コーチングの特色をまとめ、積極的にコーチを採用する理由を紹介します。

     

    コーチングとは?

    コーチと言えば、スポーツのコーチを思い浮かべます。

    そういう意味では、コーチを知らない人はいません。

    ただ、経営者がつけるコーチとなると、理解している人はさほど多くありません。

     

    コーチという言葉のもともとの意味は、馬車です。

    乗っている人を目的地まで連れて行く役割を果たします。

     

    ビジネスのコーチといえば、経営者の目標、目的の達成を助ける役割があります。

    コーチングとティーチングの違い

    コーチングは、ティーチング=教えることとよく対比されます。

    どう違うのでしょうか。

     

    ティーチングは、知識の伝達、技法の習得を目的とします。

    すでに知っている人、できる人が、まだ知らない人、できない人に関わります。

    お互いの関係は師弟関係になります。

     

    一方、コーチングは、すでにあるものから気づきを促す、できることの実践を促すことが目的です。

    コーチは、必ずしもすべてのことを知っていたり、できたりする必要はありません。

    問いかけ、答えを受け止めることによって、相手の主体性を高め、潜在的な可能性を引き出していきます。

     

    コーチングについてまとめ

    まとめると…

    • 質問と傾聴のスキルを用いて
    • 相手の可能性を最大限に引き出し
    • 目的の遂行を促すコミュニケーション

    ということになります。

    経営者がコーチをつける3つの理由

    では、ここからは、欧米のトップ経営者層がコーチをつける理由を紹介していきます。

    まず、1つ目の理由です。

    それは、自分と肩を並べて会話する仲間が必要だから、という理由です。

    経営者のまわりには、いつもいろんな人がいるイメージがあります。

    しかし、実は同じレベルで話をする仲間、となるとほとんどいません。

    同業者や経営者仲間とは、自分の会社の内情を話すわけにはいきません。

    もちろん家族や友人にビジネスの話をするのはためらわれます。

    よく言われるように、経営者は孤独なのです。

     

    そのため、コーチを付けて、じっくり対話の時を持ちます。

    コーチは、どのような状況で、どんな内容であっても、しっかりと耳を傾けて、受け止めます。

    これが経営者の孤立を防ぐ、大きな助けになります。

    そして、2つ目の理由です。

    それは、思考のブレイクスルーを起こすため、という理由です。

    コーチングの世界では、自分の頭の枠から出ると表現します。

     

    経営者は、考えることが重要な仕事です。

    そのとき、自分の常識や、自分の考え方を繰り返していると、いつも同じ結論に陥りがちです。

    すると、これがビジネスの限界になる可能性が大きくなります。

     

    それに対して、コーチがいつもと違う質問を投げかけることで、ワンパターンな思考から脱却することができます

    新たな気付きが起こり、ビジネスのブレイクスルーをもたらす可能性があります。

     

    コーチとの対話は、もう一つ脳を手に入れるのと同じくらいのインパクトがあるのです。

    さらに、最後の3つ目の理由です。

    それは、経営者の自己成長です。

     

    成長のためには、現状の正しい認識が不可欠です。

    今できていないこと、知らないことを認め、自覚する必要があります。

     

    ところが、経営者は自分の弱さや限界を認めにくい立場にあります。

    部下は厳しいフィードバックをすることがはばかられます。

    経営者自身の自己評価も、業績がよければ、ついつい甘くなります。

     

    そういう中で、コーチは経営者の正直な自己チェックを促し、客観的なフィードバックをします。

    経営者は、他の誰にも見せない自分の姿も、コーチを信頼して自己開示することができます。

     

    この関係性が、経営者の自己成長の大きな助けになるのです。

    まとめ

    ここまで、欧米のトップ経営者がコーチを付ける理由を3つ紹介しました。

    孤独の解消、思考のブレイクスルー、自己成長の支援のためでした。

     

    これらは、何も欧米の経営者だけが必要としているものではありません。

    日本の経営者も、あるいは日本の経営者こそ、必要としているものです。

     

    そして、経営に真剣に取り組む経営者であればあるほど、そのことに気がついています。

     

    コーチがいる経営生活と、コーチがいない経営生活、あなたはどちらを選びますか。

  • 気が多い人はどうやって仕事をすればいいの?マルチポテンシャライトの4つの働き方

    気が多い人はどうやって仕事をすればいいの?マルチポテンシャライトの4つの働き方

    あれもこれも気になって、いろんなことに関わっている。
    けれども、仕事としてはどれも中途半端で…

    そんな多才で気の多いフリーランスさんも少なくありませんね。

    マルチ・ポテンシャライト」(エミリー・ワプニック著)に紹介されている、
    働き方への4つのアプローチを紹介します。

    アプローチの判断の仕方

    いろんなことに関心がある人でも、働き方は様々です。
    ですから、自分にあっているかどうか、が大切です。

    自分ならでは」を見つけるためには、どうしたら良いのでしょうか。
    (「自分ならでは」は気の多い人にとっては重要なキーワードですね)

    同時進行にどこまで耐えられるか?

    働き方を考えるために、ひとつの判断基準があります。
    同時性についての許容度です

    例えば、自分が仕事をしている場面を考えてみましょう。

    話しかけられて相談されてもOK?
    プロジェクトについて企画を立てながら、
    電話やLINEの応答はできる?

    対応型と没頭型

    人によって、対応型と没頭型にわかれます。

    いろいろ同時進行が可能なのが対応型です。
    より集中して取り組みたいのが没頭型です。

    どちらのほうが勝っているということではありません。
    自分のタイプを理解しておきましょう。
    そのタイプは、働き方にも影響します。

    具体的なアプローチの仕方

    では、ここから具体的な働き方へのアプローチを
    4つに分けて紹介していきます。

    対応型が強いほうから、だんだん没頭型が強くなる順です。

    グループハグアプローチ

    グループハグというのは、
    円陣を組んで、みんながハグしあうイメージです。
    お互いに協力しあい、力を結集します。
    良い成果を出し、共に喜び合います。

    グループハグアプローチは
    自分の多才な才能を総動員して、
    ひとつの仕事を多面的にやり切るアプローチです。

    肩書は一つかもしれません。
    実際には、できることをいろいろな形でやります。
    一人で何人分もの仕事をしているかもしれません。

     

    このアプローチで重要になるのは、仕事量の調整です。

    ともすると、何でもできてしまうので、
    何でも引き受けがちになります。

    いくら多才とは言っても、
    多すぎる仕事量を克服できるわけではありません。

    だんだんと仕事のクオリティが
    犠牲になるかもしれません。

    仕事が楽しく、打ち込みすぎて、
    私生活が疎かになったりします。

    あるいは、体力の限界を迎えて、
    倒れてしまうかもしれません。

    また、意識付けも重要になります。

    能力を発揮するゆえに、
    多くの場面で頼られるでしょう。

    自分の意識も、
    「私がやらなければいけない」
    「他の人にはできない」と
    考えるようになります。

    意識して、他の人に任せたり、
    育てたりすることが大切です。

    多才な人の特徴は、
    あまり人を育てることが得意でなことです。

    育てることが得意な人を見つけて、
    育成の役割を任せるようにしましょう。

    スラッシュアプローチ

    スラッシュというのは、「/」の記号です。

    「または」という
    別の選択肢を示すときに使われます。

    A/Bといえば、AあるいはBという意味です。

    スラッシュアプローチ
    日替わりで仕事を入れ替えます。
    複数の仕事をしています。
    多くの場合、パートタイムの仕事です。
    あるいは、委託の仕事もあります。
    複数の仕事の間を自由に行き来して働きます。

    スラッシュアプローチでは
    一つの仕事にとらわれないで、
    自分の能力をフルに活かすことができます。

    このアプローチで重要になるのは
    気持ちの切り替えです。

    たいてい、前日の仕事が
    何かしら残っているでしょう。

    それでも、今日、
    やるわけにはいきません。
    今日は別の仕事に行く日です。

    時間でしっかりと気持ちに区切りをつけて、
    その場の仕事に集中することが大切です。

    関わりの度合いも重要になってきます。

    パートタイムが負える分量と、
    フルタイムが負える分量は違います。

    どうしても、部分的な関わりになるのは
    避けられないことです。

    責任の範囲を明確にして
    関わることを意識しましょう。

    アインシュタインアプローチ

    アインシュタインというのは
    相対性理論を提唱した
    有名な物理学者です。

    同時に、とても多才であり、
    バイオリンの名手だったとも言われています。

    もちろん、バイオリンは一流ではありません。
    物理学者とバイオリニストの二刀流、ではありません。
    でも、アインシュタインにとっては、
    どちらも大切な営みであったようです。

    アインシュタインアプローチは
    一つのメインの仕事に
    多くの時間と労力を注ぎます。
    結果を認められることで、
    他のことに取り組む余裕が生まれます。

    その時間と財産を使って、
    自由に自分の好きなことに取り組むことができます。

    決して一流の取り組みである必要はありません。
    メインの仕事がしっかりしてさえいれば、
    あとは自由にできます。

    このアプローチで重要になるのは
    一つの能力を極めることです。

    自分の中にある、
    一番優位な能力を見つけましょう。

    それを最大限発揮することのできる、
    確かな仕事に携わります。

    そこで成果を出すことなしに、
    他のことに取り組む自由は得られません。
    まずは、一つの仕事で成果をだすことが大切です。

    もうひとつ重要なことは、
    自由を確保することです。

    一つのことで成果を出すと、
    周囲はもっと多くの成果を求めるようになります。

    その期待に答えていると、
    自分が求めている自由が削られていくことになります。

    自分にとって納得の行く自由の確保と、
    メインの仕事での成果を、
    しっかり両立させていくことが大切です。

    フェニックスアプローチ

    フェニクスは不死鳥のことです。
    一度死んで、またよみがえります。
    終わることなく続いていきます

    フェニックスアプローチは
    ある期間、一つの仕事に集中します。

    他の人ならば、もっと追求するところで、
    その仕事に区切りをつけます。

    さらに違う仕事に移っていきます。
    場合によっては今までとずいぶん違う分野です。
    場合によっては、
    まったくゼロから学びながら始めることもあります。

    一つに区切りをつけ、さらに次のことへ、
    と終わらない不死鳥のいのちのごとく、
    キャリアを形成していくのです。

    このアプローチで重要になるのは
    区切りをつけるタイミングです

    十分にやりきった
    という感覚を持つ時が来るでしょう。
    周囲の期待は、
    もっと、ということが多いものです。

    ただし、それに従ってしまうと、
    時期を逸することになります。

    自分の感覚を大事にし、
    想いに正直に行動することが大切です。

    また、新たなチャレンジのハードル
    高くしすぎないことです。

    新たに始めていくのは、
    大抵の場合、経験のない分野です。

    今までの成功してきたという自負を
    一度ゼロにする必要があります。
    ひとつずつ習得していくことに喜びを見出しましょう。

    まとめ

    ここまで、多才で気の多いフリーランスさんの
    働き方へのアプローチを4つ紹介しました。

    1. 多才な才能を一つの仕事の中で活かす、グループハグアプローチ
    2. いくつかの仕事を時間で区切って自由に行き来するスラッシュアプローチ
    3. 一つのメインの仕事のかたわらで自由な取り組みを確保するアインシュタインアプローチ
    4. ある時期はこの仕事、その次の時期はこの仕事、とキャリアを重ねていくフェニックスアプローチ

    マルチポテンシャライト」に
    書かれていることですので、
    関心があったら読んでみてください。

    https://amzn.to/3BQqOdH

    このアプローチは大まかな分け方です。
    組み合わせたり、アレンジしたり
    いくらでも可能です。

    「自分ならでは」にこだわって、
    ぴったりの働き方を見つけましょう。

    自己理解を深めて、
    自分にあった働き方を見つけたい、
    と思った方は、気軽に声をかけてください。
    DMでも、問い合わせフォームでもOKです。

  • 結果が出なくても諦めるにはまだ早い

    「これって、失敗だったのかなぁ」
    そう思って諦めてしまいそうなとき、
    もうちょっとだけ頑張ってみませんか、というお話です。

    (さらに…)

  • 目の前のことに集中する方法

    本当はやらなければいけないのに、なかなか手が付かない。
    そんなことはありませんか。

    私はしょっちゅうです。

    この記事では、眼の前のことに集中るために取って置きの方法を紹介します。

    (さらに…)

  • 7つの習慣の身に付けたければ知っておくべきこと

    たいていの場合、「7つの習慣」を読むと、
    一つの習慣が心に留まリます。
    それを自分の習慣にしようと取り組み始めます。

    実は、そのときに大切なことがあります。

    ひとつひとつの習慣が、全体として
    どんなふうにつながりあっているかを
    意識すると、さらに取り組みが強力になります。

    今日の記事では、
    特に第4から第6の公的成功習慣と言われるものが
    どう繋がり合っているか、流れをまとめてお伝えします。

    第4から第6の公的成功習慣

    7つの習慣は、前半3つと後半3つの習慣にわけられます。

    第1から第3までは、私的成功習慣です。

    • 第一の習慣「主体的である」
    • 第二の習慣「終わりを思い描くことから始める」
    • 第三の習慣「優先すべきことを最優先する」

    これらによって、自分自身の歩みが確立されていきます。

    加えて、後半第4から第6までは、公的成功習慣です。

    • 第四の習慣「Win-Winを求める」
    • 第五の習慣「理解されるより理解することに徹する」
    • 第六の習慣「シナジー(相乗効果)を生み出す」

    私的成功に基づいて、公的な成功がもたらされていきます。

    公的成功は、その恩恵に預かる人が自分以外にも多くなります。
    合わせて、内面から外面的な成果を生み出すことにもなります。

    では、第4から第6の習慣が、
    どのようにつながって、公的な成功をもたらすのか、
    説明していきましょう。

    win-winからシナジーまで

    win-win、傾聴、シナジーという流れは、
    心構え、実際的なスキル、結果と理解することができます。

    みんなの利益を求めることから

    第4の習慣は、win-winを求めることです。
    言い換えれば、成功の形を定義することです。

    何が成功で、何を目指せばいいのでしょうか。

    目指すべき結果は、自分が得をすることではありません。

    自分と相手、いや、さらに関わるすべての人に
    益することを探し求め、実現していきます。

    人間関係におけるリーダーシップと言えば、
    率先して上に立って人を従え、導き、
    自分の目的を達成することを想像するだろう。
    だが、私たちの目的に目を向けること、
    つまり関わるすべての人に益することを選び、
    協力し合って実現することを目指す。
    これが第4の習慣Win-Winを考える。
    2021/10/12 @servant_style

    相手と状況をよく理解して

    第5の習慣は、まず理解することを強調します。

    関わるすべての人の益を考えようとすると、
    相手のことを理解することが必要になります。

    自分の利益は容易にわかりますが、
    相手の利益はなかなか想像できません。

    そこで重要になるスキルが、傾聴、
    アクティブリスニングと言われるものです。

    理解するために、自分の思い込みを横に置き、
    相手の言葉に耳を傾け、言葉にならない思いさえ、
    理解するように努めます。

    まず理解に徹するというのが7つの習慣の第5の習慣。
    どのくらいかというと、
    相手が次に何をしたいかを察して先回りできるくらいまで。

    自分が理解されたい思いを、
    とりあえず横におけるかどうか、が鍵。

    第1から第3の私的成功の習慣が弱いと
    「とりあえず」に持ちこたえられない。
    21/10/14 @servant_style

    ここにも書きましたが、傾聴しようと思うと、
    私的成功習慣の土台が確立しているか、が問われます。

    主体的になれないと、あら捜しをしたり、
    非難したりして、相手の立場に立つことができません。

    終わりを思い描くことを意識することで初めて、
    共通のゴールを目指すことができます。

    相手の事情に合わせていくのは、優先順位が定まって、
    余裕があればこそ、できることです。

    そういった私的成功に基づくと、
    win-winを求める心構えを持つことができ、
    信頼関係を築くスキルとして傾聴が生きてきます。

    あなたの話を一番よく聞いてくれる人は誰ですか?
    この質問の答えに、
    あなたの名前をあげる人が5人いるならば、
    あなたが人生で成功しない理由はない。
    聞くことにはそれだけの力がある、
    と教えてくれるのが7つの習慣。
    そもそも7つのうちの一つに
    わざわざ挙げられるのが、半端ない。
    21/10/17 @servant_style

    結果として生み出されるシナジー

    そして第6の習慣は、シナジーを生み出す

    シナジー(相乗効果)を生み出すのが
    7つの習慣の6番目です。
    シナジーにも2種類あって、
    一つは違う個性の人が協力することで
    2人以上の思いがけない力が発揮されること。
    もう一つは、当事者たち以外の人まで巻き込んで
    力が結集していくこと。
    前者も後者も実現したら最強です。
    21/10/16 @servant_style

    win-winを求め、傾聴に徹したら、
    今までに見えてこなかった可能性が見えきます。

    自分の理解の幅が広がり、視野が広がリます。
    今まで考えつかなった解決策の選択肢が見えてきます。
    協力してくれる人間関係も新たな可能性が出てきます。

    こうして、ひとりでは生み出せなかった
    シナジー(相乗効果)が生まれることになります。

    すごくないですか?

    ここまでの説明で、7つの習慣がお互いにつながって、
    新たに大きな成功をもたらすことになるのを
    理解していただくことができたでしょう。

    7つの習慣に取り組むこと

    ここまで書いたことを踏まえて、
    7つの習慣が一続きであることは、
    バッドニュースでもあり、
    グッドニュースでもあります。

    一つだけマスターというわけに行かない

    始めにバッドニュースのほうから。

    7つの習慣への取組みは、
    すべてが芋づる式に繋がっていることから、
    残念ながら、一つずつマスターする、とは
    なりにくいです。

    一つマスターしようと思ったら、
    周辺のその他の週間まで派生して、
    取り組みをしなくてはならなくなります。

    いいところだけつまみ食いはできません。

    取り組めば各方面に良い影響が生まれる

    逆に、グッドニュースですが、
    一つのことに真剣に取り組めば、
    付随して他の習慣にもよい影響が生まれます。

    ひとつながりの習慣になっているので、
    確かに、取り組むこと自体は大変です。

    それでも、一つのことが少しでも改善されると、
    そこを起点にして好循環が始まっていくので、
    各方面に良い結果がもたらされることになります。

    例えば、部下の話によく耳を傾けるようになったら、
    傾聴のスキルのおかげで家族との関係が改善した、とか。

    やればやっただけの成果が生まれてきます。

     

     

    この記事では、7つの習慣についての取り組みが、
    連続したものであることをお伝えしました。

    取り組み甲斐がありますね。

    自分だけではやりきれなそう、と思ったら、
    アドバイザーやコーチの手を借りるのもアリです。

    そんな必要があったら、
    遠慮なく声をかけてください。

  • 「また同じところに戻ってきてしまった」とまた嘆くのですか?

    何をやっても、同じ状態に戻ってしまう。
    そんな感覚になったことはありませんか?

    ダイエットの体重の話ではありません。
    まぁ、ちょっと似ていますけど。

    この記事では、今の自分から抜け出るのに必要なことを、コンパクトに紹介します。

    なぜ、元の自分に戻ってしまうのか?

    どれだけ努力しても、いつの間にか、元の自分に戻ってしまう。
    そんな経験は誰にでもあるものです。

    ダイエットの話はもちろん、
    大雑把な経営者が細かく数字を把握しようと決めたときも、
    マイペースなのに人と仲良くしようとしたときも、
    いつも直前にしかやらない人が締め切りを守ると決めても…

    効果は一時的でしかありません。
    いつの間にか、元の状態に戻ってしまいます。

    あとに残るのは、また挫折した、という苦い思いだけです。

    どうしてそんな事になってしまうのでしょうか。

    理由は、たった一つです。

    本人が何も変わらないのに
    行動だけ変えようとしても無駄。

    決意だけで行動を変えることはできません。

    本人の何か肝心なところが変わらないと、
    決して結果がついてこないのです。

    では、肝心なところって何か?
    知りたいですよね。

    それが、このあとで説明するパラダイムです。
    パラダイムが転換することで、初めて行動が変化します。

    以下、文中に出てくる「7つの習慣」とは、
    スティーブン・R・コヴィー博士の著書のことです。 

    パラダイムの変化が必要

    パラダイムというのは、
    その人固有のものの見方、と言えるでしょう。
    現実を理解するフレームワーク、とも言えます。

    私たちはみんな違ったパラダイムを持っています。

    例えば、ここに犬が一匹います。

    ある人にとっては、犬ではありません。
    ワンちゃんです。
    頭をなでてやって、かわいがる対象です。

    でも、私には、犬でしかありません。
    ワンワン吠えまくって、怖いやつ…
    全然なついてくれないし、なつかれたくもない。

    同じ犬についてでも、理解がずいぶん違います。
    これを違ったパラダイムを持っている、と言います。

    で、行動が変わるにはパラダイムの転換が必要
    というのが、今日お伝えしたいことです。

    7つの習慣 は、パラダイムシフトを前提にしている。
    自分の視点から自由になると、理解が変わり、行動が変わる。お笑いで、「そういうことだったのか」というオチがあるけれど、
    あれも視点の変化によるもの。

    人生では、遅すぎる気づきは、笑えないオチになるから、
    パラダイムシフトはホントに大事。

    2021/10/08 @servant_style

    ものの見方が変わると、行動が変わります。
    というか、ものの見方が変わらない限り、
    行動が変わりません。

    犬の苦手な私がどう決意し、努力しても、
    頭をなでてやろう、ということにはなりません。

    犬ってかわいいもんだ
    なついて慕ってくれる
    吠えたり噛んだりしない

    そう思えたら、
    初めて犬の頭に手が伸びることになります。

    手遅れにならないうちに、
    本当に必要なことについては、
    理解、ものの見方を入れ替えることが必要です。

    パラダイムを自覚することから始める

    パラダイムを転換するには、
    どのようにしたら良いのでしょうか。

    まず、自分のパラダイムを自覚することです。

    犬を見て敬遠する
    吠えられたら怖い
    近寄られるとどうしていいかわからない
    映像で見たらかわいいと思う

    自分は犬について、こんな思いをしているんだ、と
    正直に認めることから始まります。

    パラダイムシフトは、結果的に起こっていた、
    という場合がほとんど。ところが、7つの習慣 では、新しい習慣を身につけるために、
    これを意識的に求めようとする。

    そのために、まず自分が何をどう見ているかに意識を向ける。
    マインドフルネスで聞く話と共通してるところがある。

    21/10/09 @servant_style

    パラダイムを自覚したら、
    違った角度から理解してみて、
    少し違った行動を模索してみて…
    転換のプロセスを始めていきます

    取り組まなければ、またもとの状態に

    スティーブン.R.コヴィー博士は、
    古今東西の成功原則を調べ尽くして、
    7つの習慣 に行き着きました。その発見の根底にあるのは、
    人生は放っておいたら自然に良くなって
    成功することはない、ということです。

    何かに取り組まない限り、
    嘆いて人生を終えることになってしまうのです。

    210/10/10 @servatnt_style

    パラダイムシフトは、
    放っておいて起こるものではありません。

    意識して取り組まない限り、そのままです。
    そして、行動も改善しません。

    もちろん、すべてのパラダイムを変える必要はありません。
    事実、私は犬を可愛がるパラダイムを持とうとは考えていません。
    とりあえず、今のところ。

    でも、もしあなたがどうしても変化を必要としているなら

    そういうことってあると思うんです。

    経営者として
    夫、父親として
    地域の住民として
    仲間のひとりとして

    どうしても、今と同じままではダメ。

    それならば、パラダイムシフトに取り組みましょう。

     

    サーバント・スタイルのコーチングでも
    パラダイム・シフトのサポートをしています。

  • 人生の笑えないオチは避けたい

    7つの習慣 は、パラダイムシフトを前提にしている。
    自分の視点から自由になると、
    理解が変わり、行動が変わる。

    お笑いで、「そういうことだったのか」というオチがあるけれど、
    あれも視点の変化によるもの。

    人生では、遅すぎる気づきは、笑えないオチになるから、
    パラダイムシフトはホントに大事。

    @servant_style October 08, 2021

  • ごちゃごちゃした部屋も頭も心も片付ける

    第23回め、わけあって、一人がたりの回です。

    何事も、すっきりするのがいいですね。

    みっともない姿をさらしていますが、お聞き下さい。

     

  • 「今と未来の必要に応える福祉を提供したい」近藤敏矢さん(社会福祉法人みなみ福祉会)

    「今と未来の必要に応える福祉を提供したい」近藤敏矢さん(社会福祉法人みなみ福祉会)

     

    第22回のゲストは、社会福祉法人みなみ福祉会理事長近藤敏矢さんをお迎えしました。

    お父様からの責任を引き継いで、4つの施設運営に事業を拡大しました。
    その背景には、近藤さんが見据える、街の将来の姿がありました。

    事業を引き継いで、運営面からサポートする理事長のインタビューです。
    お聞き下さい。

    • 0:00 イントロダクション
    • 0:53 名古屋市南区に4つの支援施設をもつ社会福祉法人理事長として
    • 2:27 70年以上にわたって、地域に支えられ、受け継がれてきた働き
    • 6:00 情報通信の研究員から、福祉事業を承継し、運営責任者へ
    • 8:57 「後継者がいなければ事業の継続が難しい」と嘆く父の声を聞いて
    • 12:27 自分が育てられたところがなくなることは考えられない
    • 15:20 ケアにリソースを割けるように、運営面の強化、テコ入れ
    • 18:24 時代が求める情報公開の大切さ、IT技術の活用
    • 21:30 これからの時代を見据えて、一施設運営から、法人単位での運営へ
    • 28:30 福祉のいらない街を作っていくという未来
    • 31:36 関連情報は、みなみ福祉会FacebookTwitter
    • 32:20 近藤さんにとって人生の成功とは?
    • 33:12 番組まとめ

    次回以降も、お楽しみに。
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